忘れたことなんて、なかった。 「園田君、超カッコよくなってない? 高校のころと全然イメージ違うんだけど」 由美のはしゃぐ声を遮るように、甘酸っぱいセリフが脳裏をよぎっていく。 __「その時は、僕のことも、見て」 「その時」とは、まさに、「今」なのだろか。 私は恐る恐るという感じで、いったん下げた視線を、もう一度ゆっくりと上げた。 そして、 「……は」 震える息の中に、微かに声が混ざって放たれた。