「あれ? 園田泣いてんの?」
「泣いてないよ」
「あーあ、また勝見が園田泣かしたよ」
「え? マジ? 園田ごめん。そんなつもりじゃ……お前の気持ちは嬉しいけど、俺は……」
「謝るなよ。余計変な感じになるだろ。そういう悪ノリはやめろ」
「ははっ、ごめんごめん。てか広瀬、『また』って何だよ。俺、そんなに園田を泣かした覚えないけど」
「泣かしたじゃん。リフティングできない園田をからかって」
「あれは広瀬も共犯だろ」

二人は僕を置いて戯れだす。
久しぶりに会うとは思えないくらい、二人の息は昔と変わらない。
けらけらと笑いあいながら、あいつと広瀬は肩のあたりをどつきあう。
その調子で何でもない思い出話や、相変わらずの冗談交じりの罵声が飛び交い、ふざけあって、あいつの服装や髪も乱れ始めた。
その表情や仕草が、あの頃のあいつに、あの頃の広瀬に、重なっていく。
あいつも広瀬も、何も変わっていない。
確かに少し大人びて、歳は取ったかもしれないけど、何も変わっていない。

__僕は、変われたかな?

そう自分に問いかけた時、心臓が、ドクンとはねた。
あの時と、同じように。
初めて彼女を見つけた、あの瞬間と同じように。
いや、あの時より、大きく。