「おい園田、勝見に言われて顔赤くすんなよ」
「別に、赤くなんかしてないよ」
「お前ら昔からずっと仲良かったんだし、久しぶりの再会ついでに付き合っちゃえば」
「なんでそうなるんだよ」

僕と広瀬が戯れているところに、「ごめん、園田」と真剣なあいつの声が入り込んできた。
声の方を見ると、あいつはやっぱり真剣な顔で、僕を見ていた。
僕はドキドキとしながら、その表情を見つめた。

__ごめんって、何だよ。

胸のあたりがぞわぞわとして気持ち悪い。
指先が、震える。
その続きを、僕は顔をこわばらせて待っていた。
それなのに、

「俺、ボーイズラブじゃないから」

あいつはものすごく申し訳なさそうに、真剣な声でそう言った。
それが演出だとわかっているから、僕の方も体の力ががくんと一気に抜けた。

「僕も違うから」

と必死で反論する僕を、あいつはおかしそうに笑う。
あの頃と変わらない笑顔で。
悔しさと、懐かしさと、少しの嬉しさが入り混じって、目頭が少しだけ熱くなる。バレないように顔を伏せて目元に手を持っていくと、すぐに広瀬にバレた。