「よお、勝見」

そこにいたのは、昔と何も変わらない姿のあいつ。
白い長そでシャツの袖を折り曲げた先からは、長くて白い筋張った腕が伸びていた。
肩のあたりが前より少しがっしりした感じはするけど、腰はきゅっと引き締まって、その下には、すらりとした長い脚が伸びている。
癖のある髪もあのころと変わっていない。
だけどその空気感は、昔とまるで違っていた。
表情は前にも増して穏やかで、落ち着いた空気が僕たちを包み込む。
ぐっと大人びたあいつが、僕たちの目の前に立っていた。

「よっ」

あいつは軽く広瀬に挨拶をした。
そして、今だ広瀬の腕の中に抑え込まれている僕にも視線を向ける。

「よっ、園田。久しぶり」

落ち着いたその声は、何とも色っぽい。
あの頃の、色気も何もない地味男子とは、全然違った。
だけど笑い方は、昔と変わらない。
あいつは目尻をふにゃりとさせて、八重歯を見せて、僕に笑いかけた。