不思議なことに、見た目を変えると性格も少しだけ前向きになった。
外見や気持ちが変わると、僕を取り巻く環境が変わった。
その証拠に、何人かの女子に、女性に、告白を受けた。
「遊びに行こう」と誘われたり、連絡先を聞かれたり、時々恐ろしいほどの誘惑をされたり。
それならもっと早くやっときゃよかった、なんて。

だけど、僕はそのどれにもなびかなかった。
いや、嘘。
なびきはした。

だけど、どんなに外見や性格が変わっても、僕の気持ちだけは変わらなかった。

僕は、坂井さんのことがずっと好きだった。

連絡先を知っていても連絡をしなかった。
理由は、坂井さんとだいたい同じ。
あのままの僕じゃ、ダメだと思った。
だから僕は、坂井さん断ちをした。
もちろん坂井さんから連絡が来るのは全然アリだ。
だけど、そんなこと、願っても起こらなかった。

僕は、次に会うその一瞬に、すべてをかけたかった。
だから、たとえ誘われた合コンのすべてに参加しても、僕は間違っても連絡先を交換したり、次のデートの約束を取り付けたりなんてしなかった。

＿＿「今度は僕が、坂井さんを一目ぼれさせるから」

その言葉を胸に。