留学期間中は、勉強しながらバイトもしてサッカーもしてと、高校時代とあまり変わらない生活を送っていた。
そんな留学生活の中で、俺は例のイギリス人の友人と一緒に、イギリスで語学カフェを立ち上げる準備を始めた。
俺の入学と入れ替わりに卒業していった彼は、在学中からその計画をしていて、俺の入学早々にその話を持ち掛けてきた。
起業のことなんて、高校を卒業したばかりの俺にはわからないことだらけだったけど、一つずつ形になっていくのはなんだかおもしろかった。
コンセプトとしては、外国語や外国文化を学びたい人たちの交流や憩いの場という、日本の語学カフェと同じだ。
違うのは、英語の習得ではなく、それ以外の言語の習得がメインとなることだ。
日本語を勉強したいという人ももちろんいる。
また、バイト先だった語学カフェと連携して、留学の斡旋やサポート業務といった新たな事業も始めた。
こうして俺は、留学期間が終わってもイギリスに残って語学カフェの立ち上げに力を注いだ。
その合間に、一緒にカフェの起業を担うスタッフたちや、留学先の大学で知り合ったサッカーチームのメンバーもと、小さなサッカーチームを作った。
遊び半分に作ったチームだったけど、俺からしてみればハイレベルなチームだった。
相変わらずボールと一緒に弄ばれることが多かったけど、次第にそのテクニックについていくことができるようになって、自分でもできることが増えていった。
そうなると、ボールを追いかけるのも、放つのも、受けるのも、もっと楽しくなった。
もっと好きになった。
楽しく、ゆるく、俺らしくいられた。
留学を決めて、ここに来てよかったと、心底思った。
だからこそ、この場所を離れがたくもあった。
自分の力で築いた、居心地のいい場所を。