だけどいよいよ待たされ飽きたのか、広瀬は不意に両腕を空に向かってまっすぐ伸ばし、左右にゆらゆらと揺らしだした。
その腕を、俺は目の端でボールと共にとらえた。
「何やってんの?」
俺はその動きが気になって、リフティングを続けながら広瀬に聞いた。
「お前の真似だよ」
「そんなアホなことしない」
「してたじゃん、坂井さん見つけると」
「そんなアホっぽくないよ」
「いつもこんなんだぞ」
「ウソだ。広瀬がやるとアホっぽく見えるからやめろ」
「アホだろ、みんなの前で恥ずかしげもなく彼女に手振るなんて。しかも両腕上げて、こんな大袈裟に」
ボールを追いかける目の端で、広瀬の両腕がいつまでもひらりひらりと舞う。
「何なんだよ、これ。勝見のくせに、堂々と愛情表現なんかしやがって。園田の気持ち知っててやってたんなら、かなり悪意があるぞ」
「そんなつもりじゃないけど」
「じゃあなんなんだよ、これは」
広瀬はまだアホみたいに、ぼんやりと腕を左右に振り続けている。
その姿が笑えて、俺は珍しくリフティングしていたボールを取りこぼした。
そして、観念して広瀬の質問に答えた。
「好きだからだよ、あそこからこっち見てる、坂井さんが」
「え?」
その姿を思い浮かべながら、俺は広瀬にゆっくりと話し始めた。
その腕を、俺は目の端でボールと共にとらえた。
「何やってんの?」
俺はその動きが気になって、リフティングを続けながら広瀬に聞いた。
「お前の真似だよ」
「そんなアホなことしない」
「してたじゃん、坂井さん見つけると」
「そんなアホっぽくないよ」
「いつもこんなんだぞ」
「ウソだ。広瀬がやるとアホっぽく見えるからやめろ」
「アホだろ、みんなの前で恥ずかしげもなく彼女に手振るなんて。しかも両腕上げて、こんな大袈裟に」
ボールを追いかける目の端で、広瀬の両腕がいつまでもひらりひらりと舞う。
「何なんだよ、これ。勝見のくせに、堂々と愛情表現なんかしやがって。園田の気持ち知っててやってたんなら、かなり悪意があるぞ」
「そんなつもりじゃないけど」
「じゃあなんなんだよ、これは」
広瀬はまだアホみたいに、ぼんやりと腕を左右に振り続けている。
その姿が笑えて、俺は珍しくリフティングしていたボールを取りこぼした。
そして、観念して広瀬の質問に答えた。
「好きだからだよ、あそこからこっち見てる、坂井さんが」
「え?」
その姿を思い浮かべながら、俺は広瀬にゆっくりと話し始めた。