それなのに、俺の気持ちが目に見えて穏やかではなくなったのは、一学期の中間テストが終わって結果が返されたころだった。

坂井さんは俺に対して、明らかによそよそしい態度を見せるようになった。
目が合っても笑顔がない。
それどころか、目をそらされる。
その表情は、いつも不機嫌だった。
放課後もすぐに職員室前に移動して、図書室で一緒に勉強することもなくなった。
部活中にグラウンドから手を振ろうにも、その姿を見つけることができなくなった。

避けられていると直感的に気づいたとき、自分の顔が青ざめていくのがわかった。
坂井さんを目にすればいつだって高揚していたはずの気持ちが、いつしかその姿を見るたびに、胸が張り裂ける思いを抱くようになった。

どうしてそんなことになってしまったのか。
いろんな可能性を考えた。

連絡、ちゃんと返せてないから？
土日も会えていないから？
恋人っぽいこと、してないから？
俺がイケメンじゃないから？
彼氏として当然の役割が果たせていないから、坂井さんは気を悪くしたのだろうか。
俺に愛想つかしてしまったのだろうか。
それが全部できたら、坂井さんはまた、笑ってくれるのだろうか。
俺を、見てくれるのだろうか。