三年生になった。
俺たちは普通の高校生から受験生になった。
そして、クラス替えがあった。
坂井さんと園田は、同じクラスになった。
俺だけ、クラスが離れた。
新しく入った教室に、坂井さんの姿も園田の姿もがないだけで、ほんの少し寂しさを感じた。
その気持ちを紛らわすために、二人のクラスをのぞいた。
そこには、出席番号順に前後の席に座る二人がいた。
それを見て、それだけで、胸がざわついた。
そんなの、大したことじゃない。
今までと何も変わらない。
今までだって、三年間二人は、ああして出席番号の前後だった。
何も変わらない。
俺と坂井さんの関係も、俺と園田の関係も。
そして、園田と、坂井さんの関係も。
そう自分に言い聞かせた。
図書室で一緒に勉強する穏やかな時間も、グラウンドを見下ろす坂井さんと目が合う瞬間も、「勝見君は自慢の彼氏だよ」、その言葉に力が湧くことも。
何も変わらない。
クラスが変わっただけ。
教室が離れただけ。
受験生になっただけ。
周りが受験のプレッシャーで徐々にぴりつく中で、俺だけは何も変わらない日常を探して、心の均衡を保とうとしていた。