部活が終わって帰るときも、俺は変わらず園田と帰った。
だからって園田は、「坂井さんと一緒に帰らないの?」とも聞かなかった。
その代わり、園田は徒歩通学から自転車通学に変えた。
「こっちの方が楽だから」なんて園田は言ったけど、あいつは嘘が下手だから。
たぶん、自分が自転車で颯爽と帰ってしまえば、俺と坂井さんが一緒に帰れるからと気を遣ったか、あるいは、俺たちが一緒に帰る姿を見たくないと思ったからか。
どちらにしろ、園田が自転車通学に変えたのは、俺たちが付き合いだしたのがきっかけということだ。

だから俺は、そう分かっていながら、あいつの自転車の後ろに乗ってバイト先に向かうようになった。
意地でも園田と帰りたいわけではない。
もちろん、坂井さんと一緒に帰りたい。
だけど、俺はそうしなかった。
やっぱり、悪い気がしたから。

園田の気持ちを知ってて、告白したこと。
坂井さんは俺のことが好きなんだという、優越感を持ってしまったこと。
上手くいくという確信をもって、勝ち戦に臨んだこと。

ずるいんだ、俺は。

ずるくて、ごめん。
そんな思いと一緒に、園田はいつだって俺の行きたい場所に俺を運んでくれた。
さぞ重かったことだろう。

そんな俺が園田にできることは、何も変わらないようにすることだった。
何も変えないようにすることだった。
だけど変化は、勝手にやってくる。