だけど誤解しないでほしい。
俺が園田の気持ちを知ったのは、俺が坂井さんを好きになってからだ。
坂井さんを好きになったのは、高校二年生の夏休み明け最初のテストの日。
そう、あの、坂井さんが俺に一目ぼれをしたという日だ。
そして彼女と同じ瞬間、俺も彼女に一目ぼれをした。
それが、俺が彼女の話を聞いて、ただの一目ぼれではなく「運命」と感じた理由だ。
その日を境に、俺の坂井さんへの意識が完全に変わった。
目立たない地味なクラスの女子から、気になる人を飛び越えて、一気に好きな人になった。
目で追って、近づいて、話しかけて。
一緒にいると心臓は常にうるさかった。
だけどそこから胸が温かくなって、優しくなれる自分がいた。
一歩踏み出せる自分に驚いた。
そんな俺も悪くないな、なんて思った。
そして坂井さんも俺を意識してくれていると確信もしていた。
今でこそそれは自惚れだろって思うけど、どうしてそこまで自信過剰でいられたか。
それは、なんとなくそう思ったからだ。
直感で、そう感じたからだ。