「あいつの見送り、一緒に行こうよ。行って、ちゃんとお互いの気持ち話した方がいいよ。その方がすっきりするよ。こんな終わり方、よくないよ」
「わたしは……」
「あいつ、もうすぐ学校来ると思うし、それで……」
「私は、行かない」
「……え?」
「勝見君には、会わない」
「坂井さんっ」
「ごめん、園田君。園田君の言う通り、私は逃げてたのかも。受験からも、勝見君からも。今も、園田君の気持ちから逃げようとしてる。ずるいよね。そんなの」
「そんなことないよ。ずるいなんて、あいつそんなこと思わないよ。……僕だって。坂井さんだってわかってるでしょ」
「わかってるよ。わかってるから、今の私じゃ、ダメなの」
「え?」
「私が、今の私を好きでいてほしくないの。どんなにそれでもいいよって言われても、私は嫌なの。今の私じゃ、だめなの。私は堂々と、好きな人の隣を歩きたいの。好きな人の応援をしたいの。好きって気持ちを、素直に受け止められるようになりたいの。それで私自身も、好きって自信をもって言える人になりたいの。でも……だから、今のままじゃ、全然だめなの。だから……」