俺は彼女の手元で揺れるマスコットに、そっと自分のマスコットを近づける。

ふっと彼女の視線が俺の方に向けられた。
その目が、もう俺のすぐ目の前にあった。

マスコット同士が重なり合うと、俺たちの指同士が絡められて、二人の手の中に、マスコットはすっぽりと包み込まれた。
その時にはもう、俺たちの唇も、重なり合っていた。

それが、坂井さんとの初めてのキスだった。