「まあ、なんとなく……かな」
「え?」
「直感だよ。直感で、坂井さんのこと、好きだなって思った」

それが一番、俺にとって「運命」に近い言葉だった。

「直感?」
「うん、直感。一目ぼれって、直感に似たとこあるじゃん」
「ああ、確かにそうかも」

坂井さんは俺の言葉に、妙に納得して深くうなずく。

「なんか、勝見君らしいね」
「え?」
「直感の恋なんてさ、直感で生きる勝見君っぽいよ。勝見君にぴったりだね」

その言葉に、はっとなった。

そうだ。
今までしてきたどの恋とも違うのは、一目ぼれだからだ。
ただの一目ぼれじゃない。
きみに、ひとめぼれしたから。
あの日、あの時、あの瞬間にひとめぼれした相手が、君だったから。

「俺、直感で人を好きになるって、初めて」
「意外だね。直感重視なのに」
「そうだね」

すぐそばにいる彼女の存在が愛おしすぎて、たまらず俺は、そっと坂井さんの頭に手を置いた。
ぴくっと体を震わせて、坂井さんは俺を上目づかいに見た。

「初めての一目ぼれの相手が、坂井さんでよかったよ」
「え?」
「一目ぼれって、いいね」

その言葉に共感してもらえると思った。
一緒に笑いあえると思った。
それなのに、なぜか坂井さんの表情が曇った。