「こ、これは……」
「えっと、クリスマス、プレゼント」
「クリスマス、プレゼント?」

小首をかしげ、眉間にしわを寄せたままぽかんとする彼女の反応に、俺の汗が一気に引いていく。

__おい、広瀬、話が違うぞ。

いや、根本的に俺が悪いのかもしれない。
こんなのは、まったくサプライズにならない。
冗談とか、悪ふざけって思われても仕方ない。
俺としては、最大限の本気のつもり、だったんだけど。

「あ、ごめん、やっぱダメだよね。そんなお土産のキーホルダーがクリスマスプレゼントとか。やっぱ、また改めて一緒に……」
「嬉しいよ」
「え?」
「サプライズ、だね」
「サプライズ、なのかな?」

指先からゆらゆらと揺れるキーホルダーに視線を戻した彼女の目は、澄んだ冬の夜空にきらめく星に負けないくらいきらきらして見えた。
そしてその目を俺の方にも向けると、

「ありがとう」

ととびきりの笑顔を見せた。
その笑顔に、胸が張り裂けそうになる。

「でも、私、何も用意してない」
「いいよ、別に。俺が勝手にやったことだし」

ばつが悪くて、彼女からふっと視線をそらした。

「坂井さんの笑顔が見れただけで、十分だよ」

照れ隠しのつもりで何か言おうとしたら、思わず本音が漏れ出た。
そんな俺の言葉に、坂井さんはポンチョの中にさらに顔を埋めた。