坂井さんは、震える体を両手でさすっていた。
よほど慌てて出てきてくれたのか、上着を着ていなかった。
もうお風呂も済ませてしまったのか、モコモコとしたパジャマを着ていた。
普段見ないその姿は、完全に無防備だった。
モコモコとしているけど、首元や頬や耳など、肌が見えている部分は寒そうで、目のやり場にも困った。
俺はテーマパークで買ったポンチョをまだ羽織っていることに気づいた。
それを脱ぐと、彼女の体にかけた。
ポンチョのボタンをパチンパチンと留めてあげて、最後にフードをそっとかぶせた。
「暖かい」
フードの中から彼女の吐息と一緒に声が漏れた。
嬉しそうにポンチョに顔をうずめる姿がかわいい。
大きく息を吸いこんでどっと息を吐きだした白い蒸気が、ふわりと舞い上がって黒の背景によく映えた。
「勝見君の匂い」
「なんか、嬉しそう?」
フードに埋めた彼女の顔をのぞき込もうとすると、彼女はささっと逃げていく。
フードの中にちらりとにやけた顔を見つけて、俺の頬も勝手に緩む。
__ああ、好きだ。
もうこの時点で、好きが爆発して抱きしめに行きたくなる。
その気持ちを振り払って、「あ、そうだ」と、俺はここに来た肝心の理由を、ポケットの中で探った。
指先に当たる、柔らかな感触。
ポケットが揺れるたびに、シャララと鳴る清らかな音。
「あのさ、目、つぶってもらっていい?」
俺の言葉に、彼女は素直に目を閉じた。
彼女が目を閉じたのを確認してから、俺は彼女の左手をそっととった。
よほど慌てて出てきてくれたのか、上着を着ていなかった。
もうお風呂も済ませてしまったのか、モコモコとしたパジャマを着ていた。
普段見ないその姿は、完全に無防備だった。
モコモコとしているけど、首元や頬や耳など、肌が見えている部分は寒そうで、目のやり場にも困った。
俺はテーマパークで買ったポンチョをまだ羽織っていることに気づいた。
それを脱ぐと、彼女の体にかけた。
ポンチョのボタンをパチンパチンと留めてあげて、最後にフードをそっとかぶせた。
「暖かい」
フードの中から彼女の吐息と一緒に声が漏れた。
嬉しそうにポンチョに顔をうずめる姿がかわいい。
大きく息を吸いこんでどっと息を吐きだした白い蒸気が、ふわりと舞い上がって黒の背景によく映えた。
「勝見君の匂い」
「なんか、嬉しそう?」
フードに埋めた彼女の顔をのぞき込もうとすると、彼女はささっと逃げていく。
フードの中にちらりとにやけた顔を見つけて、俺の頬も勝手に緩む。
__ああ、好きだ。
もうこの時点で、好きが爆発して抱きしめに行きたくなる。
その気持ちを振り払って、「あ、そうだ」と、俺はここに来た肝心の理由を、ポケットの中で探った。
指先に当たる、柔らかな感触。
ポケットが揺れるたびに、シャララと鳴る清らかな音。
「あのさ、目、つぶってもらっていい?」
俺の言葉に、彼女は素直に目を閉じた。
彼女が目を閉じたのを確認してから、俺は彼女の左手をそっととった。