あれは、高校二年生のクリスマスだった。

サッカー部では、部活を引退して大学入試を控えた三年生の送別会は、毎年、二学期の終業式とかぶるクリスマスに行われるのが、恒例となっていた。
俺は一年の時同様、みんなでおそろいのキャラクターのポンチョを着て、しっかりフードもかぶって、アトラクションの列に並びながらポップコーンをつまんで、派手なパレードに手を振って、クリスマスのイルミネーションに目を奪われていた。
周りはカップルが目立っていて、学ラン男子十数人で、おそろいのポンチョを着て身を寄せ合うように歩いている集団なんて、俺たちの他にいなかった。

暗くなるにつれて、はしゃいでいたカップルたちは、濃密な時間を過ごさんとばかりに、暗がりにあるベンチでいちゃついたり、イルミネーションの前で体を寄せ合ってうっとりとその光景に目を輝かせていた。
園内も、俺たちが来た時よりいくぶんひっそりと静まり返ったような気がした。
それにつられるように、俺たちもしんみりとなる。

別れの時を待つ時間は、いつだって物悲しい。
切ない。
心細い。

先輩たちとはたぶん卒業式も会えるんだろうけど、こんな風に一緒にはしゃいだりできるのは、これが最後だろう。
いろんな思い出に浸りながら「はあ」なんて淡いため息が漏れた時だった。