すぐに追いつけるスピードで転がっていくボールに、俺はちっとも追いつけなかった。
足が鉛のように重くて上がらなかった。

このままでいいのかと言われても、俺にはどうしていいのかわからなかった。
何かしたところで、何か言ったところで、最後には、「ごめん」しか出てこないような気がする。

留学のこと言わなくてごめん。
勝手に決めてごめん。
一人ぼっちにしてごめん。
そばにいなくてごめん。
俺なんかが彼氏で、ごめん。

「ごめん」の数が増えるだけ。
悔しさが、こみ上げてくるだけ。

どうしてだろう。
恋をしているだけなのに、好きという感情しかないはずなのに、どうしてこんなにもいろんな感情があふれ出てくるんだろう。
押し寄せてくるこの感情のすべてに対応するのが、本当に、めんどくさい。