その結果を受け取った由美は、顔をゆがめた。
素直に、正直に。

「……」
「……あの、あからさまに絶句しないで」
「まあ、目指すのは自由だから」

由美はまるでその結果を見なかったことにしようと、さっさと模試の結果用紙を四つ折りにして私の鞄に突っ込んだ。
その様子に、私から深い深いため息が漏れる。
それと連動するように、姿勢は勝手に前のめりになって、首がガクンと机に落ちる。
最後にまた、大きなため息が漏れた。

ため息なんて、かわいいもんだ。
幸せを逃がす程度なんだから。
今の私は、息を吐いたそばから、気力も魂も持っていかれる。

「まああかりだって勝見君と同じこの高校に入れたんだから、頑張れば何とかなるんじゃない?」

確かに、今何でもない顔をして勝見君と同じこの県内一の超進学校に在籍してるけど、恐らく成績上位で合格したであろう勝見君と違って、私は本当にぎりぎり合格者だ。
いわゆる補欠合格で何とかすくわれた人間だ。
勝見君と同じ扱いなのは少々気が引ける。

「ていうか、勝見君ってほんと勉強できるんだね」

__そうでしょ? すごいでしょ? 勝見君って。

いつもなら心の中で誇らしげにそう言えるのに、あっけらかんと言う由美の言葉で、私の心だけが梅雨空に戻っていく。