「坂井さんも、来るんだろ?」
「え?」
ぼんやりしていて、広瀬の言葉もボールも拾い損ねるところだったけど、その名前に体は正直に反応した。
「坂井さんも、見送り、来るんだろ?」
「……なんでそんなこと聞くんだよ」
何も答えられない俺は、質問に質問で返した。
ボールも蹴り返さなかった。
「だってお前ら、なんかおかしいじゃん。ずっと」
「ずっとって……」
「ずっとだよ。祭りのあたりから、ずっと」
へらへらとした俺の声を鋭く遮るその声に、俺は思わず顔をしかめた。
坂井さんとは、あの文化祭の一日目に別れたきり、連絡を取り合っていない。
もちろん何度もメッセージを送ろうとした。
だけど、なんて送っていいのかわからなかった。
「ごめん」「大丈夫?」「言い過ぎた」「何してる?」「会えない?」……。
そのどれも、送ることができなかった。
教室を何度ものぞきに行こうともした。
だけど、次の授業の準備とか、予習とか復習とか、普段しないことを言い訳にして会いに行かなかった。
会ったところで何を話していいのかわからなかった。
「ごめん」に続く言葉が見つからなかった。
そもそも、「ごめん」で合っているのかもわからなかった。
何のための「ごめん」なのか。
「ごめん」って何なんだ。
「ごめん」で坂井さんを一瞬で納得させられるわけでもない。
「ごめん」と言って、すべてが上手くいくなら、俺はいくらでも「ごめん」と言う。
「え?」
ぼんやりしていて、広瀬の言葉もボールも拾い損ねるところだったけど、その名前に体は正直に反応した。
「坂井さんも、見送り、来るんだろ?」
「……なんでそんなこと聞くんだよ」
何も答えられない俺は、質問に質問で返した。
ボールも蹴り返さなかった。
「だってお前ら、なんかおかしいじゃん。ずっと」
「ずっとって……」
「ずっとだよ。祭りのあたりから、ずっと」
へらへらとした俺の声を鋭く遮るその声に、俺は思わず顔をしかめた。
坂井さんとは、あの文化祭の一日目に別れたきり、連絡を取り合っていない。
もちろん何度もメッセージを送ろうとした。
だけど、なんて送っていいのかわからなかった。
「ごめん」「大丈夫?」「言い過ぎた」「何してる?」「会えない?」……。
そのどれも、送ることができなかった。
教室を何度ものぞきに行こうともした。
だけど、次の授業の準備とか、予習とか復習とか、普段しないことを言い訳にして会いに行かなかった。
会ったところで何を話していいのかわからなかった。
「ごめん」に続く言葉が見つからなかった。
そもそも、「ごめん」で合っているのかもわからなかった。
何のための「ごめん」なのか。
「ごめん」って何なんだ。
「ごめん」で坂井さんを一瞬で納得させられるわけでもない。
「ごめん」と言って、すべてが上手くいくなら、俺はいくらでも「ごめん」と言う。