もともとサッカーは楽しくできればいいと思っていた。
もっと強くなりたいと思う気持ちはもちろんあったけど、それ以上を考えることはなかった。
そこまで夢見がちな男子ではなかった。

サッカー選手になりたいとか、海外のチームでやってみたいとか、そんなのは小学生が卒業文集で書くような夢であって、実際はほんの一握りの人しかその夢の場所には立てないことも、いつの間にか知っていた。
プロのサッカー選手なんて、強い選手とやりあうなんて、夢や理想に過ぎない。
サッカーは楽しむもので、堅実な将来を考えるなら今の自分の学力レベルにあった大学に入っておくべきだというのが当時中学生の俺の考えだった。
高校は、それを見越した超進学校だ。

楽しむだけなら、学校の部活で十分だった。
全国に行けなくたって、そこそこ上手いメンバーと楽しくサッカーができたらよかった。
熱くならず、ゆるく、楽しく、時々ふざけあって、笑って。
それで、満足。
それが、俺の青春となる。
不満なんて一つもない。
物足りなさなんて、ない。

大学に行ってもきっとサッカーを続けるだろうし、社会人になっても、結婚しても、それはきっと変わらない。
俺は、ゆるく、楽しくサッカーができる場所があれば、それで十分なんだ。
その場所を、探し続けるんだ。