「だったら、どうする?」
「え?」
「俺が彼女に、園田と付き合えばって言ったら、園田はどうする?」

先ほどまで静かだった心臓が、急に騒がしくなる。
あいつの目が、僕を試しているように意地悪く光って見えた。
そんなあいつの目を前に、僕の声は振り絞らないと出てこなかった。

「なんでそんなこと言ったんだよ。だいたい、僕には関係ないだろ。巻き込むなよ」

ようやく出せた声も、おびえるように震えていた。
思わず、目もそらした。

「坂井さんの気持ち、ちゃんと考えろよ」
「園田に言われなくても考えてるよ。彼氏なんだから」

あいつは笑って僕をあしらおうとする。
その態度が、気に入らなかった。

夏休みの間は坂井さんに寂しい思いをさせて、文化祭では心無い冗談を突き付けて。
坂井さんの、高校最後の祭りを台無しにして、あんな顔させて……。