このイベントも今年で三回目だし、テーマパークに入ってからの手際はかなり良かった。
指南書があるわけではないけれど、毎年のことだからなんとなく勝手がわかっている。
手分けして乗り物に優先的に乗れる整理券を片っ端から集め、防寒着代わりのキャラクターをあしらったおそろいのポンチョを買いに行く。
あらゆる味のポップコーンを混ぜ合わせ、それをポップコーンバケツ三つにバランスよく分け、アトラクションの列に並ぶ。
レストランやカフェでは、次から次へとキャラクターをモチーフにした料理やスイーツを頼み、写真に収め、食べつくした。
それでも足りないときは、露店でホットドッグやポテトを買って奪う様に食べ歩く。
アトラクションで必要以上に声を張り上げ、煌びやかなショーやパレードにうっとりすると、日ごろの勉強の疲れもすーっと流れていく。

こういうことって、これから先もできるのかな。
このメンバーで集まるのは、きっと難しいだろうな。
今しかできないことって、こういうことなのかな。

僕は思わずあいつを探した。

花火の光に映し出されたあいつの顔は、満ち足りていて、だけどやっぱりどこか寂しそうで、切なげだった。

あいつも、僕と同じ気持ちなのかな。

花火が儚く消えていくと、あいつの顔の周りもすっと暗くなった。