その日の放課後、今年もう何度目かわからない進路指導が入った。

先生に指示された時間よりもずっと早く、僕は進路指導室に到着した。
思った通り僕の順番はまだで、僕は廊下で待つことになった。

廊下の掲示板に貼られた学力テストや模試の結果にふと目が留まった。
そこに書かれた成績上位者の名前を目でなぞった。
そのほとんどに、あいつの名前を見つけることができた。
しかも、目で追うほどでもない上の方で。

あいつの成績は順調に伸び続けているようだ。
今の成績でも十分なのに、まだ伸びるなんて信じられない。

最後にあいつとまともに顔を合わせたのはいつだろう。
最後に見たあいつは、確かに笑っていて、いつもみたいに僕をからかって、塾の問題も解けない僕を罵っていた。

いつもと変わらない、あいつだったのに。

何だったんだろう、あの体育祭の時に感じた、まるで僕を拒絶するような冷たい空気は。
思い当たることと言ったら、一つしかない。
僕が文化祭の時に、坂井さんの手を握ったりなんかしたから。

だけどあれは、仕方ないじゃないか。
だって、手当しないといけなかったし。
僕、保健委員だし。

そもそも、そんなことであんなにがらりと態度を変える奴だろうか。
あからさまに嫉妬心をむき出しにするような奴だろうか。
しかも、僕なんかに。

恋をすると、人は変わってしまうのだろうか。
冷静さも、穏やかさも、失くしてしまうのだろうか。