岡田さんは口元に手を当てて、僕のことを容赦なくじろじろと見てくる。

「いや、その前から? 夏休み……、いや、もっと前? 二人は三年間同じクラスなんだもんね?」

__た、探偵か……? いや、エスパーか?

「ありえないよ、そんなの」

坂井さんの慌てふためいた声が勢いよく僕たちの間に割って入って、僕を追い詰めていく岡田さんの推理を止めた。

「園田君は、誰にでも優しいんだよ。それに、園田君は、勝見君の友達だよ。そんなことあるわけないじゃん」

坂井さんは硬い笑顔で、ぎこちない笑い声で言った。

そこで、SHRのチャイムが鳴った。
僕たちは慌ただしく各々の席に戻った。
席に戻ってからも、僕は坂井さんの背中をじっと見つめていた。
後ろ姿からも、坂井さんが体を固くしているのがわかった。

僕は視線を先生の方に向けた。
だけど先生の話は全く入ってこなかった。
聞こえてくるのは、

__「ありえないよ、そんなの」

先ほどの坂井さんの言葉だけだった。