心の中でまくしたてるように出てくる僕の質問を、岡田さんの言葉がぴしゃりと跳ねのける。

「もう、園田君でいいんじゃない?」
「え?」

岡田さんの言葉に、僕と坂井さんの声が重なった。

「私は園田君いいと思うよ。園田君優しいし。素朴な感じっていうの? だけどやるときはやるというか、いざとなったら園田君でも頼りになるんだなあって。たこ焼き焼く姿もカッコよかったし、あかりの火傷の応急処置だってテキパキこなして見直しちゃったよ」

岡田さんの言葉の端々に時折複雑な心情抱きながらも、慣れない誉め言葉に、耳のあたりが熱くなってくる。
落ち着いて考えれば、そんなのただのお世辞や社交辞令に過ぎないのに。

僕が熱くなった耳たぶを無意味に引っ張っていると、

「園田君はどうなの?」

岡田さんの問いかけに、僕は数秒固まった。


「……へ?」
「園田君は、あかりのことどう思ってんの?」

「え……っと」と坂井さんの方をちらりと見ると、顔を真っ赤にしている坂井さんと目が合った。
坂井さんはすぐに僕から目をそらして、岡田さんに反論する。

「もう由美、何言ってんの?」
「文化祭の準備中、なんか雰囲気よかったし。あかり、すごく園田君に大事に扱われてる感じしたんだよね」

岡田さんの目がぎろりと僕をにらむ。
それだけで、僕の心臓はドクドクとうるさく走り出す。
その瞳に見つめられているからじゃない。
何もかもを見透かしたようなその目に囚われたからだ。
嘘も、誤魔化しも、通用しない。