まだ外の世界に慣れていない僕はぼんやりとしたまま、棺の中にちょこんと座っている。
__あ、トランシーバー、何に使うか聞き忘れた。
僕はトランシーバーを見つめ、握ったその手をぱたんと下ろした。
もう片方の手には、画面の暗くなったスマホが握られていた。
何気なくサイドボタンをかちりと押して、画面を明るくする。
そう、僕たちはいつだって、何気なくその操作をする。
スマホに用があっても、用がなくても。
禁断症状のように。
ぱっと明るくなったその画面は、坂井さんとのメッセージ画面だった。
何もないはずの、トーク画面。
それなのに……。
その画面を見て、僕の目はかっと見開いた。
呼吸が急に乱れだす。
血の気は一気に引いていく。
「な、なんで……」
かすれた声が、悲痛な叫びのように僕の口から漏れ出す。
僕は吹き出しから出る文字から目が離せなかった。
だって、こんなの、送った覚え、ない。
『あいたい』なんて。
言っただけじゃん。
つぶやいただけじゃん。
抗議しても、誰もその文字を取り消してくれなかった。
僕の全身が震え始める。
__そうだ……
「削除、削除、削除削除削除……」
震える指先が、何かを探している間に、僕のアイコンから飛び出る吹き出しの横に、ピコンと「既読」を示す文字が現れた。
その文字を目にした瞬間、僕の顔からすべての血の気がなくなった。
「だあああああああああああ……」
その声は、一体どこまで響いただろう。
どこまで、届いただろう。
__あ、トランシーバー、何に使うか聞き忘れた。
僕はトランシーバーを見つめ、握ったその手をぱたんと下ろした。
もう片方の手には、画面の暗くなったスマホが握られていた。
何気なくサイドボタンをかちりと押して、画面を明るくする。
そう、僕たちはいつだって、何気なくその操作をする。
スマホに用があっても、用がなくても。
禁断症状のように。
ぱっと明るくなったその画面は、坂井さんとのメッセージ画面だった。
何もないはずの、トーク画面。
それなのに……。
その画面を見て、僕の目はかっと見開いた。
呼吸が急に乱れだす。
血の気は一気に引いていく。
「な、なんで……」
かすれた声が、悲痛な叫びのように僕の口から漏れ出す。
僕は吹き出しから出る文字から目が離せなかった。
だって、こんなの、送った覚え、ない。
『あいたい』なんて。
言っただけじゃん。
つぶやいただけじゃん。
抗議しても、誰もその文字を取り消してくれなかった。
僕の全身が震え始める。
__そうだ……
「削除、削除、削除削除削除……」
震える指先が、何かを探している間に、僕のアイコンから飛び出る吹き出しの横に、ピコンと「既読」を示す文字が現れた。
その文字を目にした瞬間、僕の顔からすべての血の気がなくなった。
「だあああああああああああ……」
その声は、一体どこまで響いただろう。
どこまで、届いただろう。