毎年文化祭はあいつと一緒だった。
他のクラスの演技を見たり、イベントに参加したりということは特にしなかったけど、いつもと違う学校の雰囲気をただ楽しんでいた。
どちらかがお腹がすくと、手近な屋台で買って食べ歩きをした。
飽きてくると、部室で暇をつぶした。
あいつはいつもリフティングをしていた。
僕はリフティングができない。
だから、あいつのリフティング技をぼうっと見ている。
そのうち文化祭に飽きてきた部員が代わるがわるやってくる。
こうして僕たちの文化祭の半分は、部室でしゃべって終わっていく。
まあそれでも、高校の文化祭での良い思い出であるとは思う。
それはそれで楽しかったし。
そんな思い出を引き出しながら歩いていると、いつの間にかあいつのクラスの前にいた。
「お化け屋敷迷路」と書かれた派手な看板が目についた。
教室の扉の小さな窓には、黒いカーテンが引かれていて中が見えない。
何とか隙間から覗いてみるんだけど、中も暗幕が教室全体に張り巡らされていて、よくわからない。