「美雪。聞いてる?」
ハッとして、七夏の方に目を向けた。
考え事をしているうちに、下を向いていたらしい。
「ごめんなさい。少し考え事してて」
「もう、ちゃんと聞いててよ」
「なんの話だっけ?」
「ほら、あやかしと人が出会った瞬間に、一目惚れみたいに惹かれ合うってやつ!」
美雪は、ああ、と反応をする。
詳しくは知らないが、何度か聞いたことはある。
「運命の番っていう?」
運命の番とは、人とあやかしが、一目惚れのように惹かれ合うこと。
でも巡り会えるのは、ほんの一握りだけ。
「そう。ロマンチックだよねぇ。私も、一目惚れとかしてみたい!」
「私は、別にいいかな」
「美雪はもう少し恋愛事に興味持ちなよ。結構モテるんだからさ」
七夏の言葉に、きょとんとした表現で首を傾げる。
「あ、自覚無い感じかあ……」
そこも可愛いんだけど、と独り言を言っていたが美雪には聞こえなかった。