『──き。美雪……』
知らない声。だけどどこかで聞いたことがある声が、美雪を呼ぶ。
目を覚ますと、真っ暗な空間が広がっていた。
『だれ……?』
目の前には、知らない女性が立っていた。
驚くことにその見た目は、美雪にそっくりだった。
長い茶髪と、赤茶色の瞳。歳も美雪とほとんど変わらないように見える。
──まるで、鏡を見ている感ような……。
『あなたは……』
『私は貴女。そして貴女は私』
『貴女が私……?』
彼女の言っている意味が分からない。理解できない。
──だけど、どうしてか信じないといけない気がする……。
目の前の人は、瞳から一筋の涙を流した。
だけど、表情に変わりはなかった。
『お願い、私。もう絶対に、あの人から離れないで』
『え……?』
翠翔のことだとすぐに分かったが、離れるなとはどういう事だろうと疑問に思う。
『お願い。今度こそ──』