「でもそのままでいたとしても、向こうがずっとそこに居てくれる補償も無いんでしょ?だったら怖いのは分かるけど、会いに行くべき。何もしないまま終わるよりは全然マシでしょ」

「…でも、きっかけを自分が作っちゃうのは嫌じゃない?しかもその可能性が物凄く高かったら?」

「それでも、私は言うよ」


そう言い切ったユイは真っ直ぐな瞳をしていて、彼女の強さをそのまま表しているようだった。


「ゲームじゃないんだから、何が起こるかなんて誰にも決められない。向こうが今何を思って、何を感じてるのか分からないのはお互い様でしょ?だったら、向こうに自分の気持ちを教えてあげれば良いんだよ」

「…自分の気持ちを教えてあげる、かぁ…」

「そう。だって会いたいんでしょ?会いたくないって思っちゃうくらい、会いたいんでしょ?そう言われて嫌な気持ちになる人なんて居る?居ないでしょ。つーか私がハルキにそんな事言われたら、嬉しくて仕方ない」

「え、そうなの?」

「うん、そうなの。……まぁ、実際私、今の彼がそうだったんだよね。だからってゆーのもあるけど」

「……ん?今の彼?」


急に出て来たその単語に私が反応すると、「だって向こう、高校生だし」なんて、さらっと彼女は言ってのけた。さらっと言われた…新事実。


「えぇ?!歴代No.1の彼って高校生だったの?!」


正に青天の霹靂。そう、モテる彼女がよく嬉しそうに話す歴代No.1の良い男だと言う今の彼氏は、実は高校生だったのだ。

現在、今年で20歳になる私達。そんな私達と最低でも2歳は離れている訳だ。たった2歳なはずなのに、高校生というだけでやっぱり何か違う。


「そう。だから絶対無いって思ってたんだけど…まぁ、人生何が起こるか分かんないなぁって感じだよね」