「なんか最近可笑しくない?」

「ん?」

「ハルキ。どこ見てんだか分かんない」


バイト終わりの休憩室で、ユイから突如言われたその言葉。それは、ミトさんに会ったあの日から5日後の事だった。


「どこ見てんだか分かんない?何だそれ」

「悩んでるんでしょって事。聞いたげるから言ってみなさい」

「えー?だから何なのそれ」


そして、「いつもながらにユイは意味分かんないねぇ」なんて言いながら、私は笑ってごまかそうとしたけれど、「いいから早く」と、強く睨まれ、どうするべきかと私は考える。


前からそうだけど、別に言いたく無い訳ではない。どうやって言えばあめさんの事が伝わるのか、それが分からないから、ユイにまだ言えていなかった。

そろそろ頃合いなのかもしれない。私一人では抱え切れなくなってきていて、それもユイにはお見通しだったのかもしれない。


「あの…あのね?ちょっと、悩むというか、迷ってる事が、ありまして…」

「うん」

「あのさ、あの…参考に聞きたいんだけど…良い?」


正解が分からないまま、恐る恐る尋ねる私に、ユイは「どんと来い」と大きく頷いた。「もしユイがね?」と、仮定する形で話してみる。


「もし、会いたいけどもう会えないと思ってた人にまた会える事になったら、どうする?」

「そりゃあ会うでしょ」

「うん。でも、もしその人が自分に会いたく無いって思ってたら?」

「……それって、絶対なの?」

「うん…ほとんど100%に近い」

「……」


するとユイは、考え込むように黙り込む。