まず結論から言うと、私はミトさんからの申し出を受け入れもしなければ、断りもしなかった。というか、答える事が出来なかった。
もう会えないとばかり思っていたあめさん。そんな彼にもう一度会いたい気持ちはもちろん強かったし、会えたならあめさんに言おうと思っている事があった。
あの日のあめさんが残したあの言葉、あの返事を私はまだしていない。
あの時は言え無かったけれど、もしあめさんに会えたのなら、会いに来て貰えたのなら、私はきっと答えられると、そう思っていた。
けれど、いつもの時間にあめさんが現れなくなった始めのうちと、時間が経ってしまった今では、抱いている気持ちは変わってしまっている。
今は、知るのが怖い。会うのが、怖い。
会えない期間に生まれた私の中の仮説を、正しいかどうかの確認が出来ないまま過ぎていく時間は、むやみにそれを肯定していく。
あめさんはもう、私に会いたく無いんだ。
あめさんにとって私は必要ないんだ。
今までずっと迷惑を掛けてたんだ。
どんどん成長する暗い気持ちが、重たく質量をもってのしかかってくる。…つまり、彼に嫌われてしまった可能性が高いのに、わざわざそんな確認をしたいとはもう思わない臆病な私が、ここに居る。
それでも、会いたい気持ちは捨て切れない。"彼に会う”これが現実となって目の前にある今、私の中でより一層その気持ちは大きくなり、自分の中でせめぎあっている。
だからミトさんの言葉に答えられず、真っ直ぐに彼を見る事が出来なかった。