私の問いは、まるで空気に溶け込んでいったかのように静かに消えていった。何の返事も反応も見せて貰え無かったソレは、本当にその場に生まれたのかさえ疑問に思える。

私は今、何て言ったんだっけ?それを考えるくらいに時間が空いていた。


「…ヘーキだから居るんだけど」


やっと聞こえてきた、あめさんの声。そして、


「ハルキこそ、こんな所に居てヘーキな訳?」


突き刺さるような視線と共に向けられた、私への問い。なんで?と困惑するしか無い。


「平気ですよ。平気ですけど…どうしたんですか?…なんでそんな事聞くんですか」


この時の私の返事は、消え入りそうなくらい小さな声だったと思う。それだけもう私は自分の言葉に自信が無くて、何を言っても駄目なようにしか思えなかった。この向けられている意思は何?彼が怒っているようにしか、私には見えない。


そんな振り絞った私の言葉なんて無かったかのように、彼は何も変わらず、「あぁ、そうだ」と、言葉を紡ぐ。


「俺、今日は酔って無いんだ」

「…そうですか」

「だからさ、今日はハルキの為になれないんだよね」

「……え?」


私の為に、なれない?