次にあめさんに会ったのは、その日のすぐ後の事。

まさか、こんなにすぐに会う事になるなんて思いもしなかった私は、彼の姿が見えた瞬間、無意識のうちに足を止める。


これは、あめさんに会う事への戸惑いだろうか。彼だと認識した上で気持ちがついて来ないなんて事、今まで無かったのに。…でも、行くしかない。ここで知らない振りをするなんて、そんな事許される訳が無い。


私の一方的な気持ちなんだから、大丈夫。絶対大丈夫。自分に言い聞かせながら足を踏み出した。


いつもの笑顔で、いつもの言葉で、声を掛ければ良いだけ。いつも言葉…そう、アレしかない。


「こんばんは…あめさん」


私から出てきたその声は、予想外にも振り絞ったかのような弱々しいもので、あめさんは怪訝そうな表情で隣に並んだ私を見た。

ジィッと、何を言うでも無く私を見つめてくるあめさん。そんな彼から発せられた最初の言葉は、


「久しぶり」


その、一言だった。彼はただ、冷たく感じるくらいにじっと、私を見ていた。


「そ、そうですね。最後に会ったのからもう1週間…2週間?それくらい経ちますもんね、お久しぶりですよね」


そんな彼の態度に戸惑いつつ、その言葉に同調する。

今日のあめさんは違う。それをこの時感じたけれど、確信に変わったのはこの後。

私の言葉に何も返事をしなかったあめさんに、私はソレを確信した。