只今の時刻は24時過ぎ。今日も私はいつもの場所へ向かう。

最近の私の気分はすこぶる良い。なんだか日々の生活に楽しい時間が増えた気がする。それってとっても良い事だ。だから今日の鼻歌も絶好調である。

その日の気分で変わる私の鼻歌だけど、大体いつもアサヒのものだった。自然と頭の中を流れる曲は、私の心に住み着いている。曲も好きだけど特に歌詞が好きで、いつも内容に引き込まれ、私を主人公にしてくれた。

こうやって人に影響を与えられて、人を幸せにする事が出来るって凄い事だと思う。選ばれた特別な人にしか出来ない事だ。その人達の力で私の幸せが造られる事があるんだって、アサヒの歌を聞くと実感する。


でもそんな幸せを実感すると共に、ふと、私はこういう人達とは違う、世の中の沢山居る人達の中の一人なんだなって、当然の事実に気付く時がある。

人の数だけ生き方がある。特別である必要なんて無いのだけれど、私は?と、考えてしまう。そんな時に私を支えてくれるのが、"人を放っておけないお人好し”という、母親譲りの私自身。これが、私が私である理由。


道の先にある階段が目に入った。いつもの影がそこに見られず、私は小さく溜息をついた。


…なんだ、あめさん居ないんだ。


その場に座り込み、待つこと15分。今日は来ない日だと、私は理解した。