「じゃあ、私はこれで。お疲れ様ー」
着替え終わったしもう帰るかと、私は立ち上がった。もしかしたらあめさんが待ってるかもしれないし。
「あ!またそうやって。どうせ自分は例の奴と会うんでしょー?」
そうやって私を放って!と、もっと話し足りなかったからか、それともあめさんと会う私が気に入らないのか、なんだか嫌な顔をするユイに、
「自分はアサヒと会うんでしょ?いいなぁー」
なんて答えると、ニコニコしながら彼女は頷く。そしてそのままの笑顔で私を見送ってくれた。
最近私は、人の扱いが上手くなって来た気がする。これもあめさん効果なのか…それにしても、ユイはまだあめさんと会う私が気に入らないようだ。
心配してくれているのは分かっているんだけど、毎回ユイの気遣いを振り切って出ていく事に罪悪感がある。なんとかならないかなぁ…
でも、きっと綺麗な人が大好きなユイの事だ。あめさんを見たらコロッと態度が変わっても可笑しくない。アサヒに限らず、どんな人でも何でも、綺麗なのが好きって、あれだけ言ってたからなぁ。もちろん、本人であるユイもすごく綺麗。
そういえば、あめさんってアサヒに負けない位綺麗な気がする。これはただの親馬鹿だろうか…ん?私って親なの?
一人脳内会議を開催しながら、思い出した私は鞄の中の煙草を確認する。よし、ちゃんと入ってる。
今日も会う気満々である私は、準備万端でいつもの階段へ向かった。