居るか居ないかも分からないのに、毎日こんな時間にこんな場所に通うなんて、流石の私でも無理だ。あめさんが毎日居るっていうならまだしも、自分は気が向いた時だけ来てさぁ…それはちょっと、ずるいなぁと。

私のその否定的な態度は、どうやらお気に召さなかったらしい。あめさんは疑うような眼差しで私を見据え、またもや私を慌てさせる言葉を吐き出した。


「…ハルキは、俺に会いたいって思わないんだ」

「……へ?」


そして、私のこの反応が更に彼のセンサーに触れてしまったらしい。


「いーよどうせ。ハルキにとって俺はそんなもんなんだね」


…完璧に、彼の機嫌は底辺だった。完全に彼は臍を曲げていて、もうこっちをチラリとも見なかった。


「あ…あめさん。ほら、怒んないで?」

「……」

「あの、私、あめさんに会えるのいっつも楽しみなんです。だって、あめさん面白いし、可愛いし、素敵だし、なんか放っとけないし、すっごい珍しいっていうか、他に同じ人は居ないと思っていて」

「……」

「だからいつもバイトの日は会えるかもってワクワクしてて、友達にもバレちゃったくらいなんですよ。もうビックリです。そんなに分かりやすかったなんて」

「……」

「だからその…つまり、あめさんが居ないと私…つまんないんです。会えなくなっちゃったら絶対淋しいです」


全ては本音。私の本心からの言葉である。

まるでもう、これで最後とでもいうくらいの態度だったから、なんとかしなければと思い切った本音の吐露だったんだけど…分かってくれたかな、ちゃんと。

私にとってのあめさんは大きな存在なんだけど、やっぱり上手く伝えられなかったかな。