「そ、そんな風には言って無いじゃないですか!そんな、来るななんて!そういう意味は1ミリたりとも入ってません!」


誤解を解こうと慌てて弁解するも、あめさんはツーンとそっぽを向く。


「来ちゃダメって言ったじゃん。どうせハルキは俺が居ない方が良いんだろ」


そんな事を言って、私と顔を合わせようとしない。まるで子供。小さな男の子。私より明らかに年上なのに、あめさんは小さな男の子みたいになる事が多々ある。


「だーかーらぁ、そんな事思ってませんってば!」

「じゃあ何?何のつもりだった訳?」

「何って、私はただ心配しただけです」

「心配?」

「そう。酔っ払ってこんな所に居たら危ないじゃないですか。今日だって待っててくれたんでしょう?だから気をつけて欲しくて言ったんです。ほら、いつも私が居る訳じゃないし、何かあったら嫌じゃないですか!」


何かあったら嫌って私は保護者か。と、頭の片隅で思いつつ、可愛い子供を相手にしているような気持ちで、丁寧に諭すように、精一杯この思いを伝える努力をした。なんとか伝われと、こちらに向いた彼の瞳をしっかりと見詰める。

すると、なるほどと、納得したような雰囲気を醸し出したあめさんは、サラリと告げる。


「じゃあ、ハルキが毎日居てくれたらいいんじゃない?」


さも当然の如く、提示された新たな提案。

…いや、いやいや、流石にそれはあめさん。


「…無理でしょう」