初めて見た、こんなに綺麗な人。
白い肌が夜に浮かぶ。大きな瞳に長いまつ毛は可愛いというよりはスッと鋭く美しい感じ。尖った鼻先に薄い唇。パーツも配置も奇跡的組み合わせである。顔も小さく、長い手足と細身の身体と、スタイルまで良い。
最近の芸能人に、ここまで綺麗な男の人が居ただろうか…ううん、居ないって断言出来ると思う。
彼はなんだか綺麗過ぎて、逆に怖くさえも感じる程だ。この感情を "怖い”って言葉で表して良いのかは分からないけれど、今の私にはその表現しか思い浮かばなかった。
目の前に静かに佇む彼は私の問いに気付き、ゆっくりとこちらに視線を向けて、その大きな瞳で私をとらえる。
怪訝そうな表情を作る彼は、とても警戒しているに違いなかった。
「…そうみたい」
それでも、呟くように答えてくれた。その聞こえてきた彼の声は平均的な男性の声の高さで、私が思っていたよりも低いものだった事に、少し驚いた。
こんなに綺麗なんだから、もしかしたら少年のような声なのかもしれないと無意識に思っていたみたいだ。でもやっぱりそんな事は無い。成人した男性が持つ、お腹に響くような声だった。
その事実は、まるで彼が人間なんだと表しているように思えて――
「…何?何か用?」
再度聞こえてきたその声で、私はハッと我に帰った。