…それはまるで今日の天気でも言うかの如くあっさりとした物言いで、さっぱりとした声色だった。大した事でも無いような言いようのそれだったけれど、私の感心が強く掻き立てられる。

あめさんの話は、まるで自分が二人居るかのような言い方だった。心の中の自分と、心を持つ自分。外からも見える自分と、自分しか知らない自分。そしてその中で生まれる、理想と現実。

あめさんもその狭間で悩んだ事があるって事なのだろう。そうじゃなきゃ、こんな事は言えない。こんな考えは持たない。


「…あめさんは、受け止めたんですか?」

「ん?」

「その、努力した自分自身を」


私の質問に、彼は「まぁね」と、笑顔で答えた。


あめさんの言いたい事はよく分かる。自分を認める事は必要な事。でもそれは、私にとって難しい事。だって、誰よりも知っている自分は、誰よりも安っぽく、誰よりも…欝陶しい。


「…でも私は、自分の価値がそんなにあるように思え無い。努力を受け止めるも何も、その自分が好きじゃないんだから難しいです」


きっと、ここが私とあめさんの違いなんだろう。
自分を認めてあげられるか、あげられないか。これが、あめさんから感じる私とは違う何かなのかもしれない。


「でも、誰よりも大切にしてるでしょ?」


…大切にしてる?何を?

私が、私を?