もう私的にはその事実だけでも結構衝撃的なのに、


「それで満足して帰って来ちゃうなんて、ハルキはお人好しだよねぇ…」


なんて、ユイから更に追加攻撃を与えられる。

…激しく落ち込む。結局自分の事しか考えて無いって事だよね、自分…恥ずかしい、本当に恥ずかしい。


「……」


もう何も言う事は無いと、黙り込む他無い状況である。


「いや、そんな落ち込むこと無いからね!まぁ、言った本人が言うのも難だけど…あれじゃん?ハルキの良い所ってそこな訳じゃん?」

「……自分の事しか考えて無いのに?」

「だから、あたしはそうは言って無い」

「?」


だったら何よ、と視線を向けると、彼女は「よく聞きなさい」と、私に促す。


「素直な所。そこがハルキの良い所」


きっぱりハッキリと、何故か自信有り気なユイは、自慢するように私に告げた…私の事なのに。

可笑しな話だけど、彼女はいつも、私以上に私を知っているような気がする。だって、大体が的を得ていて、本人ですら感心してしまうんだから。

だから、「気をつけてよ」と彼女が忠告すると、私は誰の言葉よりも頭に残るんだ。


「本当に良い人だとしても、ハルキが傷付かないとは限らないでしょ?」


今回も例外では無く、そう言って休憩室を出た彼女の言葉は、いつまでも私の中を漂っていた。

意味も分からず、ただ、そこに在り続ける、まるで雨雲のように。