「あめさんって実は…ちゃんとした人なんですね」

「ん?そりゃね。どんなイメージだった?」

「いやぁ、酔った時しか会ってないんで…なんとも…」

「…確かに」


苦笑いの私とあめさん。


「アレでも記憶があるから、余計に恥ずかしいんだよね」と、あめさんは自分の頬を弄る。初めて見るその仕種はきっと、気恥ずかしさを誤魔化そうとしているのだろう。

だから私は、


「別に私がしたくてやってる事なんで、そんなに気にしないで下さいね」


と、あめさんに告げた。始めの時もその後も、一度も彼を迷惑に思った事は無い。無理をした事も無い。私は私の思いのままに動いてるだけなのだから、気にしないで下さいという意味で言ったのだ。

でもそれをきっかけに、一瞬にしてあめさんは纏っていた空気が変わり、「したくてやってる?」と、思ってもみない反応が返ってくる。


「それって、何?人の世話がやきたいって事?」


彼の表情は険しいもので、敵意を向けられているようにすら感じる。そんないきなりの事に、私は戸惑うしか無かった。


有り得ないだろ、と言っているのがすぐに分かる。まるで、軽蔑しているかのような、その瞳。…いや、軽蔑されたのかも。この瞳を、私は知っている。

あめさんもそう思うんだと、私は心の中で落胆した。なんでそんな風に思うのかは、人それぞれの理由があると思う。私自身、この話になるとそういう反応をされる事が、今までに何度かあった。

…でも、これに関して、私は否定出来ない。


「そうです、その通りです」


私は、あめさんに対して真っ直ぐ、包み隠さず話そうと思った。