「でも今帰るって言うなら私、手伝っちゃおうかなぁ。下まで一緒に下りて、タクシー捕まえちゃおうかなぁ」

「……」

「調度私も大通り通るし、あめさんと一緒に行こうかなぁ」

「……」

「ねぇあめさん、どうします?」


…なーんて。多分、こんなの小学校低学年の子供に使う技だと思うので、本当に彼に効果があるのかどうか不安だったんだけど、


「……帰る」


なんと、効果は的面だったらしい。フラフラと、あめさんは立ち上がってくれた。やっぱり可愛い人なのである。


ーーその後、立ち上がったあめさんを支えながら階段を下り、大通りでタクシーに彼を押し込んだ。そしてお願いします、と運転手さんに告げて、私の本日の任務は終了。私もそのまま自宅へと帰る。

家まで続く大通りを歩きながら、私はふと気が付いた。あれだけ疲れていたはずなのに、なんだか足取りが軽くなっていて、暗く落ち込んでいた気持ちも今ではスッキリしている。

これは絶対人助けパワーだと、やっぱりコレしか無いのだと、私は再認識した。

あめさんと出会って、あめさんを助ける事で、私も助かる。新しい関係性が生まれた事を、何となく理解した瞬間だった。