「…あめさん、なんでこんな所で寝てたんですか?」
「ん〜?」
「なんで、こんな所で寝てたんですか?」
「んー」
尋ねてみたものの、返ってくるのは心ここに在らずな返事ばかり。…これはきっと、聞き流して答えを教えないつもりである。そうはいくものか!
「あめさん!なんでっ、こんなとこでっ、寝てたんですか!」
「!」
顔も見ないで誤魔化そうとしてくるものだから、悔しくなっておもいっきり耳元で言ってやった。無理矢理にでも返事をさせてやる!と。
すると案の定、彼は驚いた表情で私を視界の中心に入れ、不満げに口を尖らせる。
「も〜、聞こえてるっての」
「聞こえてても答える気無かったじゃないですか」
「お?よく分かってらっしゃる」
そしてケラケラ笑い出すあめさん。でも私は何も面白くない。というかあめさん、今日はいつにも増してお酒臭い。テンションが可笑しい。
「…なんか、すごく酔ってません?」
「ん〜?」
「………はぁ…」
そうか、だからこんな所で寝てたのか。早朝に見かける、駅で寝てるサラリーマンのようなものなのか。