「あめさんってば。あなたの事ですよ、あなたの!」


声だけでは起きそうに無い彼を、グラグラと揺さ振った。容赦は無い。


「起きて下さい、もう明日になっちゃいましたよ!あめさーん」


するとその内、彼の身体がピクッと反応して、


「…分かったから。まじでそれは…勘弁」


いつもより低い声で力無く、彼から反応が返ってきた。

良かった!と、ホッとした。健やかに眠っているとはいえ、このまま起きなかったらどうしようと心配していたから。でもそんな彼にまず私が掛けた言葉は、私自身も想定外の言葉。


「…あめさん」

「ん?」

「お酒臭い」

「……」


あめさんからは無言の視線だけが返ってくるので、もしかしたら怒らせてしまった?と焦ったけれど、なんだかそうでは無いみたい。

どうやら言葉の意味を理解するまでに時間がかかっただけらしく、へらっと笑った彼から「それはそれは、ごめんなさーい」と、ふにゃふにゃの答えが返ってきた。


…なんだか、あめさんの考えてる事は分かるまでに時間がかかる。

外見と性格が一致していないのだ。こんな事言うようには全然見えない。全く見えない。だから黙られると、何を思っているのか、本当に分からない。

…こんな彼は酔ってる時だけなのかもしれないけれど。