恐る恐る、彼の後ろから声を掛けてみた。しかし、返事は無い。壁に凭れ掛かり、なんだかぐったりしているような…もしかして、体調悪い?


「あのっ、ハルキです。聞こえますか?」


返事も出来ないくらい具合が悪いのかと、あまり刺激しないようにそうっと顔を覗き込んでみた。最悪、救急車を呼ぶ心構えまでしたのだ。

…が、覗き込んだ先にある予想外の健やかさに無反応の意味を確認した瞬間、言葉を失った。いやそんな、嘘。ちょっと待って。嘘だよねぇ…?


「あめさん?」

「……」

「ねぇ、あめさんって」

「……んー…」


むにゃむにゃとしている彼に、ハッキリした。
この人、寝ている。

嘘でしょ、こんな所で?と、呆然と彼を眺めていた私だけど、傍を通る車の音で我に帰った。このまま放って置く訳にもいかないし、どうしよう、どうするべきかと、彼の取り扱いに一瞬悩んだ。

そう、一瞬。時間は一瞬。実は、当たり前に答えは一つだった。


「あめさん!起きて下さい!」


とりあえず起こすしかない。