私は大学で講義が終わると、その後居酒屋でアルバイトをしていて、いつも帰りは24時を過ぎてしまう。

とはいっても、毎日毎日働いている訳も無く、大体週4回のペースでシフトを組んでいた訳なんだけど、その4回のうちの2回。その2回に、必ず遭遇する人がいる。しかも、その殆どで彼は酔っ払っている。

居酒屋で働いている身としては酔っ払いには慣れているけれど、毎回それで大丈夫なのか心配になる。

そんなに彼に初めて会ったあの日の夜。店先で出会った彼は、酔っていなかった。


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その日、バイトが終わり休憩室を出ると、外では強めの雨が降っていた。

重そうな音と共に地面にぶつかるそれを見て、私は今朝の天気予報を確認した自分を褒める。予報は的中。快晴の後、雨。朝は物凄く晴れていたけど、傘を持って出て本当に良かった。

しっかり用意してきたビニール傘を握り絞め、仕事終わりの怠さを引き連れた私は店の休憩室を出る。

私の働く居酒屋の休憩室は2階にあり、外用の階段を使ってスムーズに帰宅出来るようになっていた。バイトが終わった私は休憩室で着替えて、帰宅する為に、外階段を下りていた。

そこで目に入ったのが、彼だった。