「両方とも間違ってないと思うんです。でも私自身には、両方とも合ってないような気がして…」


私はミトさんに相談する事にした。自分一人で決められず、もらったアドバイスも上手く受け取れなくて、もうどうすれば良いのか分からなくなっていたからだ。


「そうか…まぁ、両極端な答えだと思うから、それもしょうがないんじゃない？結局はハルキちゃんがどうしたいかが一番大事なんだしさ」

「はい…でも、でも私、自分の事は嫌なんです」

「ん？」

「私…自分の事ばっかり考えてて、駄目なんです」


――私は、あめさんの傍に居る事で、沢山貰っているものがある。あめさんが居なくなると聞いて、一番見えたものが、それ。

あめさんと居れば、
あめさんが居るなら、
あめさんだったら、
あめさんになら、

そんな事ばかり思い浮かんだ。


そんなの全部、私がして欲しい事。私の為でしかないもの。

それだったら私は必要ない。私に価値なんて、ない。


「私は助けてあげられる人に、ならなきゃならないのに。それが私の意味なのに」

「………」

「私、やっぱり――、」

「驚いた。ハルキちゃんにはそう見えてんだな」

「…え？」

「アイツなんて自分の事しか考えてないんだから、そんな風に考えてやらなくても良いと思うけどなぁ」

「はい？」

「いや、こっちの話」

「……？」


よく分からないなと思いながらミトさんへと目をやると。急にミトさんは真剣な眼差しで私を見る。


「ハルキちゃんはさ、」

「はい？」

「何が大事？」

「……え？」

「君は、何が大事なの？」