とは言っても、充分幸せに、仲良くお付き合い出来ていると思う。今日も今日とて、私とあめさんは一緒だ。勝手な事をされても嫌ない訳ではなくて、これはきっと、恥ずかしいが強い。
「ハルキ」
「……」
「何怒ってんの?」
「……」
「おーいハルキー」
「……」
「こっち向いて。じゃないと俺、淋しくてしょーがない」
「……」
あーもう、本当に。
彼に視線を向けると、ニヤッと微笑む表情が目に入る。
「おいで、ハルキ」
…どうしてだろう。どうしてこの人はこう、私の扱いが上手いのだろう。
彼の腕の中にすっぽり収まりながら、私はひっそりと考えた。そして、気が付く。
あぁ、違うや。扱いが上手いんじゃなくて、私が言う事を聞いてしまうんだ。
どちらにしろ不思議なのには変わりないな、なんて思っていると、「なぁハルキ」と、頭の上の方から声が掛けられた。見上げると、そこにはもちろんあめさんの綺麗な顔。優しげな瞳で私を見詰めている。
「俺、仕事がバタバタして来てんだ」
「…そうですね。最近忙しそうだなぁと思ってました。何かあったんですか?」
「うん。ほら、活動再開しようと思って。そっち始まったから」
「?、再開?何が?」
「あれ、言ってなかったっけ?俺も歌やってたんだけどアサヒのヤツで辞めてたんだよな。でも次はまたそっち始めんだ」
「え…えぇ?!」
そんな事言われてないし、何も知らない私はかなり驚いた。でも冷静になって今までを思い返せば、辿り着かない答えでも無いように思う。これでようやく全ての答えが出揃ったという訳だった。
「独り立ちって、そういう事だったんですね」